理事長挨拶
我が国の生涯学習社会の進展に伴い、現在、国内には数千もの検定試験が存在します。その中には小規模な検定から受検者数が年間百万名を超える検定までと幅広く、その内容も趣味・教養の分野から企業実務や学校教育に関するものまで多岐にわたっています。そして、年少者から高齢者までの幅広い年齢層が受検し、多くの人が社会においてその成果を活用しています。
しかし、こうした民間検定試験の増加に伴い、近年では検定試験の「質」と「信頼性」を懸念する声が大きくなって参りました。そのため、消費生活センター等に検定試験に関する苦情が寄せられることもあると聞いております。 このような状況に危機感を感じた学識経験者や実績のある検定試験実施団体により、「特定非営利活動法人全国検定振興機構」は設立されました。
生涯学習社会の進展に当機構が担っている責任の重さを、当機構の責任者として自覚しています。特に、最近では我が国の大学入試などに民間の検定試験を活用することが議論されており、そうした大学入試改革に向けて、検定試験の「質」と「信頼性」を判定する当機構の責任は計り知れないものがあります。
しかし、私は必ずその責任を果たすことができると思っています。なぜなら、検定試験実施団体から当機構に寄せられる声の多くが、「他の検定試験はどのような実施をしているのか、特に歴史と実績のある団体からの情報を得たい」と云うものだからです。そこには「社会から信頼され、安心して受検できる検定試験を目指したい」という民間検定実施団体の強い想いがあります。こうした「良き品質のものでなければ社会は認めてくれないし、作るのなら良いものを作りたい」という我が国のしっかりとした市民力の存在、それが私の確信の根拠です。
検定試験実施団体を支援することを通じて、社会から信頼され、安心して受検できる検定試験の普及を目指す当機構の主な事業活動は以下のようになっています。
- 我が国における検定試験等を、世界トップレベルの教育評価、テスト理論に基づき審査・評価する各種審査委員会を組織し、その委員会で厳格な審査を行うことで、国民が安心して検定試験を受検できる審査事業を行う。
- 実績のある検定実施団体の実施方法、審査基準および過去に発生した問題とその解決方法等を普及するため、学識経験者の指導なども得ながら、各団体が相互に研鑽する場を設け、民間検定等の質の向上促進を図る研修事業を行う。
- 検定試験実施等で重要とされる項目を共有し、社会から信頼され、安心して受検できる検定試験の在り方を研究する調査研究事業を行う。
これらの活動により、人々がいつでもどこでも安心して検定試験にチャレンジでき、その成果が適切に評価・活用される社会の実現に向け貢献して参りたいと存じます。
皆様のご支援ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。